英語で就職を考えているなら、TOEICと言われるケースもあるようですが、企業側からすると、TOEICでは、戦力にならない、ということもよく言われています。
これは、TOEICがどうこうということではないのですが、最近TOEICスコアで採用してもミスマッチが多くなっている、ということのようです。

TOEICの特徴を確認しよう
- 受験英語と同じような考え方をビジネス・企業活動の英語にもってきた試験です。
- 「すでに英語が日常的話せるもの」として、〇xで、日常以外の英語知識を問う問題が多いです。
- 点数を上げる書籍、教材、コーチの巨大ビジネス。万年カモさんも多いです。あたかもTOEICが全て、国際的な英語の指標、という、だんだんおかしな方向に行っている人達もいます。
- テストが2つあり、LR(Listening + Reading ) と SW(Speaking + Writing) となっています。 企業側からも、コミュニケーションの測定を目的とするのであれば、 Listening + Speaking をセットに、Reading+Writingをセットにしたほうが良いのに、スコアが何の評価にもなっていない、と言われることがあります。
このような特徴が原因で、だんだん企業側もミスマッチに気が付いてきていまして、基礎的なコミュニケーションも重視する方向にあります。
TOEICの問題に気が付きある企業
「数年経過しても、英語を必要とする仕事に携われない例が増えている」、ということが挙げられます。一方で、一部の企業・採用側では、TOEICは参考程度として、しっかり英語で一人一人インタビューして採用すれば全く問題ない、そのほうが得、という事に、だんだんと気づいています。
TOEICの問題点の一つは、公式の本や教材、テストの繰り返し(=結構な費用をかけること)で、英語の能力とは別に「点数だけ」上げることができるということです。ビジネス英語を標榜するだけあって、TOEIC教材ビジネス、といえます。ただ、このような1つだけの点数で優劣をきめるということは(割と古い世代の)人間の考え方、といえます。
今のビジネスにおいて必要な英語コミュニケーションは、「いきなり正解」を文書で出す、ことではないのです。必要なのは、お得感の心理合戦であったり、不確定なことや失敗しそうなことを、成功に変えるプロセスだったり、みんなでなにかを成し遂げようとしていくマインドセットだったりします。
英会話やスピーチの音読の面白さ、には、そういう心理・お得感、成功、言葉、といったものが随所にあります。これが、英語をつかったビジネスや、その採用において、重要になっています。
海外の部署があったり、ビジネスを伸ばしたい企業において、TOEICの点数で採用することは、出身大学の有名度や難易度の序列のようなものでフィルターする、というのと、さほど変わりがないように思います。
ビジネス英語と口語表現を交えた例
とても短い例ですが、ビジネスでだれかに会ったときの例を見てみましょう。
私は独立コンサルタントです。
I’m a independent consultant.
★1球目=ストレート主張・短いほうが効果的
そして、橋渡しのような立場で仕事をしています。
And I’m like in the position working as a bridge ..I mean..
★2球目=付加・例示的は口語的に=人間的に柔軟性をより印象づけます
どんなbridgeなんだろうかと聞き手の興味を引きます。
経営層と雇用者層、あるいは、本社と海外支社のブリッジのような立場で仕事をしています。
between executives and their employees .. you know.. or between the headquarters and their overseas branch offices.
★3球目=おぉっ?と思う専門性は、口語的表現につつんで、相手の表情を確認しつつ、自分は笑顔で柔らかくいうと、また奥行が感じられるものです。
初対面の人で、「暗記して正確にカタイことをいう人」と、「考えながら相手の顔をみて、柔らかく話しかけてくる人」を比べてみてください、また、これが仕事にどう影響するか、日本語でいいのでご自身の心で考えてみてください。
ビジネス的TOEICで高得点を取ったとして、ほとんど聴けない、しゃべるのがぎこちない、という人が増えていることは、採用の側でも徐々に、広く、認識されつつあります。
本来、言葉やコミュニケーションは、総合的・多様的・心理的なひろがりがあります。
TOEICは(ほかの試験もそうですが)あくまでも、主催者が得意とする観点と教材によって、主催者の試験で評価しているだけにすぎません。
このことをふまえて、ミスマッチの様相を見てみてください。
採用側企業も、応募する側も、「特定の試験や価値観」を頼りきっている状況は、英語で何か新しい境地を切り開こうとしているとしても、人間的に古いままの世界から抜け出せていなくて、学びも成長もなさそうだな・・。・・そのような企業や人に見えてしまいませんか?
TOEIC公式教材を買い込んでヘビロテすると、ある程度簡単にスコアがあがるようです。ただ、こういう学習方法は、英語コミュニケーション能力とは違うものです。
また、深層学習やAIの言葉でいうと、学習セットの「リーク」と過学習によるスコア上昇、そのようにみえて仕方ありません。日本国内の大学の選抜入試もそのようなものなので、TOEICもこのやり方でOk、とする人達が本当に多いんですね。私たちの教育における評価方法・非効率性・乖離は、とても根が深いマインドセットがあるようにも思います。
一方で、こういう状況を、改善・改革して、多くの人が納得できる、成長できる、そのようなビジネスとコミュニケーションができるようにすることは、個人的・企業的効果が大きいです。そのような学習方法にできれば、社会的効果もさらに大きいものとなるでしょう。